この記事のポイント
- 白馬村の冬の観光客は約130万人で、2004〜05年以降で最多。スキー場の来場者の約46%がインバウンドだった
- 増えたのは観光客だけではない。住民の22.7%(2,217人)が外国人で、在留外国人は13年で7.6倍になった
- 住む外国人の3人に2人は「特定活動」。多くはスキー客を迎える側で冬だけ働く若者とみられ、宿や店を営んで住み続ける人もいる
長野県白馬村は、外国人のスキー客でにぎわう村です。
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| シーズン | 観光客数 |
|---|---|
| 2019〜20(コロナ前) | 93万人 |
| 2023〜24 | 113万人 |
| 2024〜25 | 130万人 |
出典:白馬村観光局(2024年3月15日・2025年3月27日の発表)、日本経済新聞(2024年3月)をもとに作成
白馬村観光局によると、2024〜25年の冬(11〜2月)に村を訪れた観光客は約130万人で、前年の114%でした。2004〜05年シーズン以降でいちばん多い数字です(白馬村観光局、2025年3月27日)。前の冬の2023〜24年も113万人を超え(日本経済新聞、2024年3月)、コロナ前の2019〜20年の121%でした(白馬村観光局、2024年3月15日)。
伸びを引っ張っているのは外国人です。2023〜24年の冬、村内のスキー場を使ったインバウンドの客は前年の2.56倍、コロナ前の2019〜20年と比べても141%でした(白馬村観光局、2024年3月15日)。2024〜25年はスキー場の来場者が延べ89万人で、リフト券の購入記録では約46%がインバウンドです(白馬村観光局、2025年3月27日)。
観光客だけでなく、住む外国人も増えた
ところが、増えたのは観光客だけではありません。白馬村に住む外国人は2,217人。村の人口9,751人の22.7%にあたります。全国の市区町村で3番目に高い割合です。
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| 年 | 在留外国人 |
|---|---|
| 2012 | 297人 |
| 2013 | 368人 |
| 2014 | 443人 |
| 2015 | 622人 |
| 2016 | 659人 |
| 2017 | 733人 |
| 2018 | 1,058人 |
| 2019 | 1,218人 |
| 2020 | 474人 |
| 2021 | 356人 |
| 2022 | 725人 |
| 2023 | 1,229人 |
| 2024 | 1,754人 |
| 2025 | 2,256人 |
出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」をもとに作成
2012年は297人でした。コロナで2021年に356人まで落ちたあと、2025年には2,256人(在留外国人統計)。13年で7.6倍です。
住民の4〜5人に1人が外国人という村で、この人たちはふだん何をしているのでしょうか。
3人に2人は「特定活動」
在留資格の内訳を見ると、手がかりが見えてきます。
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| 人数 | |
|---|---|
| 特定活動 | 1,510人 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 231人 |
| 家族滞在 | 101人 |
| 日本人の配偶者等 | 94人 |
| 永住者 | 92人 |
| 経営・管理 | 72人 |
| 定住者 | 26人 |
| 技能 | 24人 |
| 留学 | 22人 |
| 特定技能1号 | 21人 |
出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」をもとに作成
「特定活動」が1,510人で、全体の66.9%です。特定活動は、ほかの在留資格に当てはまらない活動を、法務大臣が一人ひとりに指定する資格です。ワーキング・ホリデーやインターンシップなどが含まれます(出入国在留管理庁)。全国では在留外国人の3.0%にすぎませんが、白馬村では3人に2人がこれです。
国籍も偏っています。
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| 人数 | |
|---|---|
| オーストラリア | 793人 |
| 英国 | 328人 |
| 台湾 | 180人 |
| 中国 | 160人 |
| ニュージーランド | 111人 |
| カナダ | 93人 |
| ネパール | 64人 |
| 米国 | 47人 |
出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」をもとに作成
オーストラリア793人(35%)、英国328人(15%)、ニュージーランド111人、カナダ93人。日本がワーキング・ホリデー制度を結んでいる32か国・地域には、この4か国がいずれも含まれます(外務省)。
長野県の市町村ごとに最も多い国籍を見ると、オーストラリアが1位なのは白馬村・小谷村・野沢温泉村・飯山市の4つだけです。どれもスキー場のある町です。

特定活動の1,510人のうち何人がワーキング・ホリデーなのかは、統計では分かりません。ただ、同じスキーリゾートの北海道倶知安町(ニセコ)を調べた研究は、特定活動の代表例としてワーキング・ホリデーを挙げています。町の関係者への聞き取りでも、在住外国人の「ほとんどはワーキングホリデービザで来日する短期の季節労働者」という声が出ています(新海茜「倶知安町にみる在住外国人の増加についての現状と課題」『都市学研究』61号、2024年)。
冬だけ来て、観光客を迎える側で働く
白馬村の外国人の多くが冬だけの住民だということは、村の人口からも分かります。
令和6年度
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| 月 | 令和6年度 |
|---|---|
| 4月 | 8,739人 |
| 5月 | 8,480人 |
| 6月 | 8,424人 |
| 7月 | 8,427人 |
| 8月 | 8,426人 |
| 9月 | 8,412人 |
| 10月 | 8,393人 |
| 11月 | 8,383人 |
| 12月 | 8,490人 |
| 1月 | 9,524人 |
| 2月 | 9,621人 |
| 3月 | 9,564人 |
出典:白馬村「白馬村の観光を取り巻く環境の変化」(第1回観光地経営会議 参考資料2、2025年6月27日)12ページの図から作成
白馬村の人口は、夏から秋は8,400人前後です。それが12月の8,490人から1月は9,524人、2月には9,621人まで増え、4月には8,739人に戻ります。いちばん少ない11月(8,383人)と多い2月の差は1,200人あまりです。村はこれを「冬だけの居住者の増加」と書いています(白馬村「白馬村の観光を取り巻く環境の変化」 12ページ)。
増えた観光客を迎える側にも、外国人がいます。信濃毎日新聞は2023年2月、白馬村のスキー場のレストランや麓の宿泊施設・飲食店で外国人が働いている様子を伝え、見出しを「いてくれないと営業継続も難しい」としました。この冬、五竜が台湾の大学生4人をインターンとして初めて受け入れたことも紹介されています(信濃毎日新聞デジタル、2023年2月19日)。インターンシップも特定活動の一つで、台湾は白馬村の在留外国人の3番目(180人)です。
残って暮らす人もいる
ただ、在留資格の表に戻ると、冬だけでは説明がつかない人たちがいます。
| 在留資格 | 人数 | どんな人か |
|---|---|---|
| 経営・管理 | 72 | 自分で事業をしている |
| 家族滞在 | 101 | 家族と住んでいる |
| 日本人の配偶者等 | 94 | 日本人と結婚している |
| 永住者 | 92 | 永住権を持っている |
合わせて359人。全体の16%です。
「経営・管理」の72人が何をしているのかは、研究で確かめられています。白馬村のスキーリゾートを調べた吉沢直の研究は、インバウンドの発展とともに現れた「ホスト化した外国人」の事業を分析し、外国人は宿泊業を中心に他業種に事業拡大を行い、外国人経営の宿泊・飲食施設が増えたと結論づけています(吉沢直「長野県白馬村のスキーリゾートにおけるホスト化した外国人の役割」『地理学評論 Series A』95巻1号、2022年)。白馬に移住したカナダ人が英語の観光ガイド組織とスキースクールを始め、村がその人脈を海外へのプロモーションに使ったという話もあります(nippon.com、2025年4月9日)。
観光客として来る人、冬だけ働きに来る若者、残って宿や店を営む人。白馬村の外国人は、観光客として訪れるだけの存在ではなくなっています。
読むときの注意:12月末に数えた数字
在留外国人統計は12月末時点の数です。白馬村にとっては、ちょうどシーズンが始まったところを数えていることになります。夏のあいだ外国人が何人残っているのかは、この記事の数字では分かりません。村の月ごとの人口は、日本人と外国人を分けていないからです。
市区町村ごとの在留資格や国籍は、在留外国人ダッシュボードの都道府県のページで確かめられます。長野県のページでは、白馬村のほかに小谷村や野沢温泉村の数字も見られます。
データについて:在留外国人数・在留資格・国籍は出入国在留管理庁「在留外国人統計」(各年12月末)。在留外国人は中長期在留者と特別永住者の合計で、日米地位協定の対象者は含みません。村の総人口・外国人住民数は住民基本台帳で、在留資格の内訳とは出典が違うため数十人のずれがあります(外国人住民2,217人に対し、在留外国人2,256人)。「住民の22.7%」は住民基本台帳によるもので、人口3,000人以上の市区町村で比べた順位です。冬の観光客数は白馬村観光局の発表で、2019〜20年の値は、2023〜24年が2019〜20年の121%だったという発表から計算しました。月ごとの人口は白馬村の資料に載っている図から読み取ったもので、令和6年度(2024年4月〜2025年3月)の値です。特定活動のうちワーキング・ホリデーが何人かは統計では分からないため、「多くは冬だけ働く若者」という見立ては、在留資格・国籍・村の人口の動き・報道と研究をもとにせんデータが考えたものです。


